
形の静寂、色の囁き。
形なき感情が、私の鼓動と共に素材へ、絵肌へと流れ込む。私はただ、物言わぬ形のなかに、確かな「生命」を見つけ出そうとする。素材の手触り、絵具の重なり、そのすべてが静かに、だが確かに、遠い記憶や胸の奥の(それ)を呼び起こしてくれる。現実をなぞることに安らぎを見出しながらも
わずかに現実から外れる“不穏”な静けさに惹かれる。形が本質を追い、線が虚構を探り、安堵と異物感が、ひとつの造形の中で共存することを願う。見る者の奥底に眠る記憶と、私自身が確かに感じてきた「存在の気配」。そのわずかな綻びや影こそが、作品に命を与えるのだと信じている。
「(彫る)それは、真実の創造。(描く)それは、虚構の想像。造形とは己を現世と結ぶための静かな儀式。」